新時代のスピリチュアルSFファンタジー登場!
ネットでフト、目に留まった新刊本があった。『太一~UFOに乗った少年』/ 宝生 明【著】だ。
タイトルが、ご存知の方もおられるかと思う、エンリケ・バリオス著、さくらももこ表紙絵『アミ・小さな宇宙人』を即、彷彿させる。しかし直感で、この本はオモシロソウ!と思った。今年2月下旬の事だ。
調べると、自分がウェブで良く観る「スピリチュアルTV」を主宰している、小泉義仁氏が解説を書いておられるようだ。
ますますオモシロソウ! で、即、市立図書館にリクエスト。3ヶ月もすれば連絡が入るだろう。梅雨頃か? 気長に構えていたら3月下旬、「本が入りました」と連絡あり。はや!感謝!
早速借りて読む。巻末に小泉氏の素晴らしい内容の解説がある。自分の思いもそれと重複してしまうが、書いていく。
自分たちが12、3才位の多感な頃、『NHK少年ドラマシリーズ』という、今でも語り継がれる傑作TVシリーズがあった。第1作『タイム・トラベラー』から、好奇心旺盛な当時の少年少女を虜にし好評を博した。その後の作品『なぞの転校生』『夕映え作戦』『つぶやき岩の秘密』等の、傑作少年SF物の影響は計り知れなく、自分の中では、もはや受肉化してしまっているほどだ。
その証拠に、今でも「ラベンダー」という名前を聞くと、“ハーブ” というより、“理科室のフラスコ” と “ケン・ソゴル”
が浮かび、海岸沿いの小さな入り江を車でドライブすると、思わず『つぶやき岩~』の主題歌「遠い海の記憶」を口ずさむ。重症でアル。日本SFの黄金時代を築いた、光瀬龍や眉村卓、筒井康隆等、錚々たる作家が当時ジュブナイルとして原作を提供していた。面白くないワケがないのだ。
この『太一~UFOに乗った少年』は、そんな往時の少年ドラマシリーズ、あるいはスティーヴン・スピルバーグの、あの名作映画『未知との遭遇』や『グーニーズ』を彷彿させる、子供心に満ちたSF少年冒険譚だ! 読んでいて、実に久し振りに心ときめくワクワク感があった。
思えば久しくこの手の物語は出現してなかったと思う。'80年代以降、この分野は宮崎駿作品が席巻し、冒険する主人公が、いつしか少年から勝ち気な少女の時代へと、推移して行ったせいもあるかもしれない。
物語は3つの章から出来ているのだが、特に第3章「光」は、痛快でゾクゾクするようなオモシロさが、スピード感溢れる筆致で疾走展開して行く。小説なのにどうしてここで映画を引き合いに出すのか? そう、この小説、実は映画化にとてもふさわしい内容だからだ。実際、映画化されると良いのに・・・と思う。
舞台は日本の神奈川県、鎌倉 、江ノ島 、茅ケ崎エリア。サーファーも多い、いつの時代にも音楽のモチーフとなる憧れの地、湘南が舞台だ。季節は夏、そこに住む10代、小学生の3人の少年、浜辺で出会った謎の老人・・・、そして、それぞれの事情を抱える少年たちの家族 ・・・。学校、放課後の海辺、サーフィン、波、瞑想 、反重力、「調べ 」、インターネット、
ブログ、そしてUFO・・・。 あらゆる事象がひとつに収束されていき、気付くと物語は全世界が注目するミラクルな出来事にまで展開して行く・・・。
この小説は、単なるジュブナイルではなく、物語を通じてこの地球上で生きる全ての人類に向けて、今日的な、静かな、しかし熱いスピリチュアル・メッセージが込められている。このメッセージの新鮮さ、そしてそれを伝えるのが既存の大人たちではなく、地球の未来を担う10代の少年たちという点が、この作品をより瑞々しいものにしている。
作者 宝生明さんの、この本についてのインタビューが動画でアップされている(後述)。それを観ると、この本が沢山の不思議な偶然の重なりの上に出現してることが判る。巻末の小泉氏の解説によれば、世界が変化してる時には、少し先の未来を暗示させる作品というのが、いち早く世に出ることがあるようだ。最初に紹介した『アミ・小さな宇宙人』などもそのひとつだと思う。
それは、見えない世界側からのメッセージを、啓示的に作家がキャッチし、見えるこの世界側にダウンロードしたものなのだと自分は思う。そのメッセージをこちら側に出現させる必然性があったのだ。そういう仕組みを思いつつ物語を読み進むと、この作品は、この時代に出るべくして出て来たミラクルな本なのだと確信する。
そういう特色から、この小説は、ポスト宮崎駿、新時代のスピリチュアルSFファンタジーとして、記念碑的作品に今後なっていくのではないか?と思っている。少なくとも自分はそんな予感がしてならない。
なりたかったわけではないが、いつしか大人になってしまったボクラ。あたかも大人になる交換条件のように、何処かに置き忘れて来た子供の頃の冒険心と好奇心…。
今、最も必要なのは、これまでの世間体を取り繕うことでもなく、外部に何かパワーを探す事でもなく、いつかのあの場所に置き忘れて来た、無邪気なそれらを取り戻し、毎日毎瞬を心おきなくワクワクドキドキして暮らすこと。そして、そんな最中に訪れる、内なる「調べ」に耳を澄まし、それにチューニングすることだ。 友よ、光あれ!
太一〜UFOに乗った少年HP
著者 宝生明さんのインタビュー動画
▼『ロズウェル〜星の恋人たち / Dido』(NHKTV 2001~2)