Lotus

先のブログを書いた後、原因不明の急激な眠気に襲われ不覚にも爆睡してしまった。寝ていた時間は2、30分くらいだったと思う。気付くと自分は初めて大気圏を越え地球外にいた。振り返るとラピスラズリーのような青い地球が巨大な蓮の花の上に浮いていた。蓮の花びらはどれもホログラフィーのように揺らぎ虹色に明滅していた。息を飲むような美しさだった。声をあげようと思ったら目が醒めた。

目醒めると冬でクリスマスだった。あれ?秋はどうしたのだ?自分は一体どのくらい眠っていたのだろう? ほんのうたた寝の感じだったが…。 こ、これはもしかしてタイムリープ? SF小説や映画では知ってるが、まさか、この自分にそれが起きるとは…!自分の状況に動揺を隠せない。落ち着け、落ち着くんだ、と言い聞かせながら友人に電話し問い合わせる。
 
「おう、久し振り、どうした? 何寝ぼけた事言ってるんだよ。地球は今年から秋が消滅したってあれ程TVや新聞やネットで話題になったじゃないか? それとも何かい、その間、眠り病にでも罹って何も知らなかったとでも言いたいのかい、ストレンジ、まったく勘弁してくれよ、俺は今忙しいんだ、じゃ〜な。また正月明けにでも会えたら会おう」

「その通りなのだよ、実は… 」と言いかけたが電話は切れた。

そうか! 地球は今年から秋は消滅したのか…しかし自分は一体どうしたというのだろう? 

 

ぼんやりとしたままベッドを起き上がろうとする手に何かが触った。感じたことのない触覚だ。おそるおそる蒲団を上げると、そこには虹色に明滅する蓮の花びらがあった。

 

              

                             ▼「Lotus 」 / 平沢進 (1995)

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