それは博打のような賭けで始まった。

伊豆大島冬旅録 2010 その1

110217(木)雨 延び延びになっていた昨年末の伊豆大島初旅録を数回に分けて紹介したいと思います。旅の雰囲気、そして伊豆大島の魅力が、ほんの少しでも伝われば幸いデス。

 

 

 

 

 

2010年12月21日(火)晴れ、早朝6時前、私は目の前の、まだ開けきれぬ東京湾、晴海埠頭やレインボーブリッジ、お台場のランドマーク的高層ビル群の光の明滅を見ていた。天気はどうやら快晴のようだ。ここは東京都港区。JR浜松町駅から歩いてすぐ。竹芝客船ターミナルの小高い公園のベンチの前。作晩夜11時頃、岐阜県のJR大垣駅から乗り込んだ冬の臨時夜行列車、「ムーンライトながら」で早朝5時頃、東京山手線JR品川駅に着き、先程ここへ来たのだ。

臨時夜行列車「ムーンライトながら」では、ちゃんとした洗面所があったのだが、時間の都合で未だ顔を洗ってない。ターミナルの端にある広くてきれいなトイレの洗面所で、近くのベンチにおられる路上派のオジサンたちと一緒に、持参のひげ剃りで手際良くひげを剃り、顔を洗う。こういう設定に何故か違和感なくなじむ自分がいる。「おはようございまあす」自分は路上派の方々に挨拶。おじさんたちはほんの少し目を大きくする。挨拶する人。しない人…。都市哲学逍遥派とでも呼ばせて頂きたいそれらの方々は、全体に静かで瞑想的だ。旅人は瞑想の邪魔をしてはいけないと思う。

薄紫色に包まれた東京湾の空と海と風の感じを、もう一度眼前で確かめつつ、午前6時になると、携帯でとある所へ少し緊張しながら電話する。程なくテープで伊豆大島行き、本日の船の就航状況が流れる。毎朝6時になるとその日の午前中の出航予定が決定するのだ。「やった~!…大丈夫!」船は予定通り出航するようだ。私はほっと胸をなで下ろす。伊豆大島行きのジェット船は、この季節、太平洋特有の強烈な西風が吹くと欠航するのだ。事実、かなりの回数でこれまで欠航してる。ここに来るまでの一週間くらい、実家で毎朝確認したが、出航率は50%くらいだった。

一ヶ月近く前に佐世保駅の旅行会社に問い合わせ、早割引でこの日の午前8時40分を予約した。その時点では、船が強風で欠航することがあるなど知りもしなかった。欠航すると今後の全ての予定が実に不味くなる。すでに予約はしてしまっタ!、もう後へは戻れない…。自分の運を賭けるような気持ちでここまで来た。まったく大博打だ。幸運にも船は予定通り出航する!とうとうここまで来た!、ああ、自分は本当に伊豆大島へ行けるのダ…!じわじわと実感が湧いて来た。ひたすら見えない配慮に感謝! 心はもう、東京湾の南120km彼方。初めて訪れる東京都伊豆大島へ飛んでいた…。

 


             旅のはじまり

 


「◯◯、(私の名前)、大島来るかぁ~、年末一週間位来ればいいじゃないか、のんびり好きに過ごせばいい…」

 

去年の夏の終わり、四国遍路前半編をお供させて頂いたRさんよりメールが来た。2010年11月中頃の事だ。Rさんは東京都下、伊豆大島に住んでいる。 私は、人生基本、お誘いがあるうちが花と考える。幸い12月は家の年末用事以外は多忙ではない。地域行事も今年の分は終了してる。チャンスだ。母の了解も得た。間を置かず二つ返事で対応する。

OKはしたものの、冬に島に行くという物数奇、ある意味大バカ野郎だ。風邪を引くのがオチではないか? という考えも頭を過らない訳ではなかった、しかしそれより未だ見ぬ伊豆大島への気持ちが強かった。例によって、旅には一番格安の青春18キップと早期割引船便を予約。そして、行くと決めてからはその他の全ての日常の用事を前倒してクリアーし、一昨日、西の終着駅JR佐世保からいったん福岡の友人宅へ。そして昨日早朝、博多からネットを駆使して調べた乗り換え時刻表をもとに、10回位乗り継いでここまでやって来た。

 

あの夏の四国遍路以来、自分はこういう何処か少しハードでリスキーな旅のスタイルが好きになった。より非日常感を味わえることと、自分の全能を何処かで試すような状況が気に入ってる。…何とかここまで来た。これまでの経緯を思い浮かべる。もうすぐ夜明け、東京湾は乳白色に輝く。快晴の天気。気分は上々だ。

…午前7時に開いた竹橋客船ターミナルで予約していた船便のチケットを買う。船に乗る機会はあまりなく、乗船手続きをするのは新鮮な気持ちだ。ターミナルには椿の花のお祭りをPRしたB全の迫力ある大きな伊豆大島観光ポスターが目を引いた。自分はポスターとかが好きなのだ。デザインもそこそこ良い。そう言えば自分が住む佐世保にはこういうB全(1030mm×730mm )の大型観光ポスターがない。このくらいの大きさで良いデザインで作れば迫力あるのに…。どうしてそういう発想がないのだろう? そしてポスターは(デザインが良くて)盗まれるくらいでないといけない…。

 

            

             伊豆大島へ!

 

 

…そんなこんなを思ってるうちに、出発時刻も近づき、乗客らしい人も増えて来た。いよいよ乗船だ。午前8時40分定刻に出発した東海汽船の高速ジェット船「虹」号は、噴射水面をホバークラフトのように滑るようにして進む。水しぶきがあたりに上がり、外のデッキとかには出られない。理想は、夜10時に出る大型客船で、海を眺めながら行くのが旅情があると思う。時間はかかるが安くもあるのだ。

 

何故そちらを選択しなかったかというと、九州の西果てから青春18切符利用の場合、どうやっても東京に早朝についてしまうからだ。可能であれば、大型客船は風にも影響されず欠航もほとんどないので、往復どちらかでもお勧めしたい。

 

約100分すると進行方向左手に島影が見えて来る。いよいよ伊豆大島だ。

 

            (その1終わり。次回は伊豆大島初上陸!)

 

 

 

この旅には最初から決めていたBGMがあった。'80年代を代表する洋楽、TOTOの『Africa』である。なんで、TOTOで『Africa』なワケ? 何処かしら冬の海を越えて行く感じ + 他の理由からだ。勝手なイメージで申し訳ないが、旅のあいだ中聴いていたので定着してしまった。イメージを強要するのもどうか?と十分思いマスが、良かったら下をクリックして、画面をすぐ元に戻し、スライドショーを最初からスタートさせて見て下さい。旅の雰囲気が伝わるかと思いマス。

 

        伊豆大島冬旅2010イメージ曲 『Africa』TOTO (1982)

本日もご訪問頂きありがとうございます。良いことがありますように!

 

                          (その2へ)

 

 

 

 

コメント: 4
  • #4

    planetary-n (水曜日, 23 2月 2011 20:27)

    ささサン、しばらくですね。コメントありがとうございます! 

    写真+BGM、お褒めに預かり面映いデス。自分はこういう作業が好きなのでしょうね〜。色々 あれこれ試したり、「違うなぁ〜」とか、結構時間かかるのにやります。映像、言葉、音楽、イメージ通りになるのはマレですが、楽しいですね。だいたいの所 で手を打ってます(笑)。

    …そうです、映画『リング』で登場します。あの「貞子」は伊豆大島出身です。幼少の頃、三原山噴火を予知したという設定になってるようですね。また、映画 『ゴジラ』(1944)では、伊豆大島がゴジラの故郷になってます。映画では「大戸島」になっており、その伝説の怪物という設定なのですね。 平成『ゴジラ』(1984)では、ラストで三原山の火口に帰って行き、『ゴジラvsビオランテ』(1989)では再び火口から復活します。

    どれも一度は観た映画なのですが、こと、伊豆大島に注意を置いて観ていた訳ではないので、自分では記憶が曖昧です。実は、改めて観ようと思い、隣町、この あたり唯一のレンタル屋さんに行き探したのですが、あいにく置いてませんでした。どうにかして再確認したいところです。(笑)。かようなことに現をぬかし て、まったく自分は好きなのだな〜と自分に呆れてるこの頃デス。

    東京湾の早朝の風景は、都内に住んでいても中々観ることはないですよね〜。トテモ新鮮でした。朝焼け綺麗でしたよ〜。ネット環境になってから、実際、逢うとか、行ってみるという行動が大事なことを感じますね。良い道具にしたいところです。

    画像+音楽、性懲りもなくまた登場する予定デス。お許し下さいね〜(笑)。

  • #3

    ささ (水曜日, 23 2月 2011 14:39)

    ぶんぶんアフリカ繋がりで飛んできました。写真とBGM凄く良いですねェ。大島、赤いアスファルトと溶岩で記憶が蘇りました。波止場で船を待つ感じが好きですね。船旅はロマン度MAXで総てのものがど〜でも良くなる。大島はパワースポットなんですね。確かリングで登場したような。最近は東京の朝を知らない生活、動くと色んな景色に出会えるんですね〜。ありがとう!

  • #2

    planetary-n (金曜日, 18 2月 2011 17:27)

    Waooow!碧い海さん、初めまして! 初コメントありがとうございます!こんなに早く頂けるとは思っていませんでした!嬉しゅうございます。感謝します!

    海は夏のイメージがもちろんありますが、冬の海辺〜島って、ある意味穴場?だと言う感じがしてました。夏の喧噪もなく、静かで落ち着いた時間があるのではと…。

    初めて訪れた伊豆大島は、もう少し違うイメージでした。何といいますか…、原初のパワーに溢れた土地の力を感じました。そういう所を今後、うまく紹介出来たらなと思っています。

    碧い海さんも、文字通り、いつもそこから海が見えるのでしたね。何時かビールでも飲みながらそこからのサンセットを眺められる日を夢見てます。今年はあるかな〜〜(笑)。

    今後も気が向いたらお立寄下さいませ。冷やかしその他何でも大歓迎です。ありがとうございます。

  • #1

    碧い海 (金曜日, 18 2月 2011 10:16)

    冬の寒い時期に 灰色の海を渡って 何を見つけに行ったのか?
    私なら暖かな日差しの降り注ぐ碧い海を見に行くなあ…ととりあえず私は思う

    そう言えば 知り合いの画家が 癌と戦いながらの最期の時 冬の海ばかりを描いていた
    そのアトリエに入ると視覚的に息苦しくなるほど寒かった…のを思い出した

    人がギリギリの時って 何かを見つけられるのかもしれない

    貴兄のこれからの人生を先回りして眺めたい気分


    続きを楽しみにしながら…