27番札所[神峯寺] ~ 35番札所[清瀧寺]

聖地巡礼 第4日目 ~ 四国遍路覚書8

100826(水)晴れ。 時間は現在を境に、ドップラー効果の如く、急激に遠ざかって行く感じがする昨今 、物事が過去になるスピードが速い気がする。お彼岸になって一気に涼しくなった。此所から今年のあの暑い夏は、もう遥かに遠い。思い出すのに一苦労だが、夢の中を歩くように、記憶をたぐり寄せる。

 

8月26日、高知県田野町の道の駅、田野駅前で朝を迎える。昨夕は近くにある、「二十三士温泉」というのに入った。これといって特筆する程の温泉ではないのだが、とにかく、温泉があるのは何よりで、有り難いものだった。もちろん、一期一会、「たぶんもう二度と来ないだろうな〜」という気持ちが、瞬間瞬間を鋭敏にしている感じがした。この道の駅は近くに土佐黒潮鉄道というのがあり、短い編成の電車が走っていた。コンビニもすぐ近くにあって有り難い。おにぎり、お茶などを調達して、7時前には出発した。 

 

時間によってはお昼を摂る事が出来ないことも多く、たいていおにぎりで済ませることも多いこの遍路。グルメをやる訳でもなく、遍路中は結構、質素でストイックだった。これはひとえにR親父がストイックだったからだと思う。R親父は基本凄く真面目な人なのだ。私は、たまにはパぁ〜と行きまショー!、とか、何処かいい加減なのだが(笑)、お供をしてる身なので親父のやり方に従った。

 

あと、暑いので水分補給は重要。ペットボトル500m位では対応出来ず、スーパーで1、5Lを買って車に置き、ちょっと塩を入れ、一日それを飲んでいた。

 

今日最初は、第27番神峰寺(こうのみねじ)。地図では近くなのだが、急で道幅が狭い。もの凄い道を一気に登って行かないと辿りつかない。四国霊場屈指の難所、と言われてるようだ。R親父はそういう道も何なくスルーしていく。タダもんじゃない。7時過ぎに着くと、あたりは清々しい朝の空気の中。夏のこんな早朝に、こんな気持ちのいいお寺に来たことは生まれてこの方ない。ましてや、其所で読経するのも初めて。全てが初体験で、体が喜んでいるようだった。

 

それ以外の札所は、この日は、それぞれのお寺にことさら強い印象があったということはなく、とにかく、猛暑の中、淡々と参拝して行った。割と理屈っぽいところがあると思う自分だが、何故、遍路をやらなくてはいけないのだ?とは不思議と思わなかった。1200年も歴史があることに自分ごときが疑問に思ってもしょうがないという気持ち。永く続いてるのはそれなりの理由があるから。それは問答無用での体験、やって行くうちに何か気付くのでは?と思っていた。

 

時々、明らかに歩いて廻っているお遍路さんに出逢う、若い人であることも多い。中には私と変わらない位の女性の方でほぼ、坊主にされておられる方もいた。この遍路を歩くのは、パーツに分けてやるにせよ、相当の何かの覚悟が必要。色んな人が色んな理由で歩いてるのだ…。

 

車が邪道だとは全く思わないけれど、車で進んでいる時、どうにも凄い山道や、果てしなく単調な国道沿いを、一人で歩いてる方を見かけると、暑いのだが、熱いものがこみ上げて来る。「がんばッテ!」思わず日頃使わないこの言葉を、窓越しに投げかけている自分がいた。

 

 

             納経帳と御影帳

 

 

お参りの最後に、参拝した証として、各寺必ずある納経所にて墨書と朱印してもらうのが、納経帳である。下、御覧の通り美しい梵字と達筆な書が手書きで書いてあるので、美術的な価値をこれに見い出す方もおられるようだが、基本は、心を込めて参拝したお経をお取り次ぎさせて頂いたという住職の受け取り印とのことだそう。

 

最左は、最後のお寺、45番岩屋寺で頂いた紙、「あなたは御自身が生きた証として何を遺そうとお考えですか?」という問いで始まる。(何か遺さないといけないのだろうか?、などと、たぶん少しひねくれてると思う自分などは問いがあるのだが、それはともかく)内村鑑三の有名な「後世への最大遺物」からの文章が書いてあった。

納経帳
納経帳

下が、御影帳(みえちょう)と呼ばれるもの。納経所で納経して貰うと、名刺より一回り大きい位の薄い白い紙に、そこの札所のご本尊を印刷したものを頂ける。これを、ナントカカード見たいに、保存する帳だ。

御影帳
御影帳

この二つは、どうしても必要というものではないと思う。参拝は、納札を納め、灯明、線香をあげ、教本を開いて、読経、心を込めて合掌、心から祈れば、納経はそれだけで十分なのだと思う。納経には各300円かかるのも結構バカにならない。ただ、遍路行って来たという証みたいにはなり、他者に説明しやすくはなる。死ぬ時も持っていけるとか何かに書いてあったように思う。

 

(以下画像クリックで拡大、コメントあり、スライドショーも可)

 

参考:)四国遍路マップ

本日もご訪問、ありがとうございました。良い事がありますように…!

 

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コメント: 2
  • #2

    planetary-n (月曜日, 27 9月 2010 01:01)

    tsuyoshiさん、いつも、コメントありがとうございます。はい、桂浜行きました。坂本龍馬の銅像は桂浜を見下ろす丘の上に建っています。その下には広い駐車場になっていて、その丘にまでの通りに土産店や闘犬場(土佐犬?)だったかがありました。

    全てのものは振動してますし、回転してます。静止してるものなどないのですね。呼吸を動かしてるのは何?なのでしょうね。コチラが見ようとすれば、それはそこにあるのでしょうね。昔からずっとそこに…。

    Rさんは、私とってはある種、導師(グル)かもですね。Rさんに限らず出逢う人は誰でも先生であり導師なのですが…、思えば丁度一年前のブログ「…それを作れ、そうすれば彼はやってくる」という、映画『フィールド オブ ドリームス』よりインスパイアーされたのを書いたのですが、「お米作った後、誰が、何がやって来るのだろう?」と思ったものでした。

    そういった意味ではRさんがやって来た、とも言えなくはないですね。これは私の勝手な妄想がかなり入ってます(笑)。勝手に物語を作って遊んでるのですね。あはは。

  • #1

    tsuyoshi (日曜日, 26 9月 2010 23:24)

    とうとう、龍馬殿と桂浜見ましたね。羨ましい!!
    また、最後の夕焼けも美しいですね。この先の会場には遥か南洋の島まで何もないんですよね。Rさんとの同行、興味しんしんです。
    普段の生活をしていると、神仏のことなどまず考えないのに、ちょっと立ち止まった時に知らず知らず手を合わせている自分がいたりして。