ある意味、不幸な人たち。

農から最も遠い人々。

 前回のジャガイモのブログで、兼業農家とは言え、農家の子供なのに野菜の作り方も知らない情けなさを発露し、それにはそれなりの理由があると書いた。それを考察しまス。

 

まず、私の親たちは子供たちに農家の作業を殆どやらせなかった。子供達を農家になどさせたいと思わなかったからだ。何故? 農業は大変だしそれのみではやって行けないことが、その頃から既に言われていたからだ。

 

その代わりに、もの凄く教育熱心であった。とにかく「勉強せよ!」その上、私等は「一番になれ!(ガッコウの成績が!)」などと、不条理なことを日々言われ続けハッパかけられて育った。(これはウソではありマセン)。時代は未だ高度成長後期、いいガッコウに行き、大企業のイイ会社か、いいコームインになるのがシアワセ‥という価値観だったからだと思う。(今も根強くあるかも…だ)だ〜れも農業ナンテ見向きもしない時代だ。(だとしても1番になれ!なんていうのは、如何なものか?、そう云われ続けた子供の末はどうなるのか?、ま、今の私がいい例なのだか‥、)

 

このあたりの兼業農家の子供たちも(一番になれ!とかは言われないと思うが)そう変わらない親の価値観で育っていると思う。今、地元に残っている兼業の息子さんで、野菜を作れる人はひとりもいない。教わって来ていないのだ。小さい頃から農業で毎日大変な作業をやっている親を見て育ち、親たちからは「農家はキツイ!、大変!、労多くてお金にはならない!」という情報を毎日毎日マインドコントロールのように幼年時代からアドレッセンスを越え大人になっても聴かされ続けて、「農業」という職業を選択する人は、まず、いない。

 

親もそれを強く進めることはない。生計が成り立たない職業を進める親はいない。親の望みは地元で何か働いてくれて親がやっている農業の多忙時に(この場合米作り)手伝ってくれればというものだと想像する。しかし地元に仕事場がなかったら離れて遠くに行くしかない。それを親は止められない。

 

ちゃんとしたアナウンスはないが、高度成長はとっくに終わっている。(たぶん1975年位には)そしてここに来て、戦後50年以上、殆ど誰も見向きもしなかた農業が少し注目を浴びている。

 

この農業に対し、最もネガティブなイメージしか持ち得ないのが、皮肉なことに、家が農家だったところの子供たちだ。 親の世代からその大変さ、ネガティヴ性しか聞かされて来なかったからだ。少なくとも私の家はそうだった。農にはそれ以外のポジティブな側面もあるはずだ。しかしそれらは経済中心世界の文脈では語れないものだったりする。なので、当然ながらそちらの側面は全く情報として子供たちに伝わって来てはいない。

 

そういう親を持つ農家も子供たちは少なくないと思う。そしてその人たちは今の農業ブーム?の中では、農に対する親世代のネガティヴイメージをそのまま持っているが故に、皮肉なことにある意味、最も農から遠く、またある意味、可哀想な人たちとも言える。すぐそこに農の環境が在るにも関わらず…。

 

皆さんがそうであるように、現在、農に関心持ってイキイキやっている世代は、申し合わせたようにその殆どは親が農とは関係ない都市部で育った子供たちだ。こういう流れでは農はこの人たちに期待するしかない。

 

では、親がそういう農家だった子供はどうするのか?、そういう親を持ったのも運命。親も良かれと思ってそうしたノダと許して行き、こびり付いた、ネガティヴ情報を新しい情報で上書きして行くしかない。たとえ、時間がかかっても…。そういう方向だと思う。 Maybe…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント: 2
  • #2

    planetary-n (水曜日, 12 5月 2010 18:38)

    amberクン! 非常~に建設的で真摯な提案のあるコメント!まことにまことにありがとうございます! 

    

amberクン、いや、本来 amberと、呼び捨てが互いにスッキリするのだけど、提案は、検討に値する方向だね〜。「半農半X」元祖コンセプター、塩見氏などとも、実際会ってお話伺ったけれど、既にそういう展開をされておられる。他にも自分が知らないだけで沢山いることだろうね。

    

自分がメディアを持ち、世界に発信出来るだけで、誰が見ようが見まいが、ひとまず満足してるのだが(笑)、そういう方向はアリだよね。コンテンツを充実して行こうかね~。印税生活も夢でない(笑)。貴重な提案を具体的に提示して頂き、本当にありがとう!心より感謝します!

  • #1

    amber (水曜日, 12 5月 2010 11:22)

    親が農とは関係ない都市部で育った子供(笑)としての意見だが

    このブログで記録した野菜作り、米作りを推敲して、半農半Xを目指している人々向けに一冊の本まとめたら、それなりの収益が見込めるんじゃなかろうか?と思った。

    ソフトウエアの世界ではオープンソースといって、誰もが無償で利用して、それで営利行為すらできる、たとえてみれば「システムの土台」をせっせと作って只で配っている人々がいる。(言うなれば、このブログの農に関する蘊蓄がそれにあたるかな)
    そんな彼らがどのようにして飯を食っているかというと、オープンソースを利用する企業とコンサルタント契約を結ぶというのもあるんだけど、それ用のガイド本を出版してその印税を得たり、それに関わるテクニカルなセミナーに講師として招かれてその講演料を得たりしているらしい。

    自分が思いついたことは、必ず他の人も思いついていて、要はそれを実行に移すかどうかが分かれ目。(だから、既に他の人が実行しているかも)
    農作業やその他の雑事に追われて、本を執筆する時間なんてとても…と思うだろうが、ブログをそのまま本にしてしまうといった事例もある。

    キミのブログは、もちろん「読み物」としても面白いので、そこにお母さんから得た知識(や、取材した地方の伝統芸能をコラムとして)をしっかり記述していけば、立派な一冊の半農半Xの本になると思うのだがどうだろうか?
    その本にも、このサイトのURLを記載しておけば、相乗効果で活性化が見込める。

    もし収益が上がったら、本の改訂を重ねてもいいし、新たな企画を立ち上げてみるのもいいかもしれない。

    もちろん、一朝一夕にできるものではなく、構想○年というスパンになると思うけれど。

    お母さんから得た知識を、このブログで公開するだけ、というのはあまりにもったいない気がしたので提案してみました。